2003年08月15日

「農」のある暮らしから見つけた青春 〜本当のトマトの味〜 ★佐藤翼【2003年8月号】

 ある日、私は自分の弱さを知った。その日は自分の弱さに絶望し、食べ物は喉を通らず夕飯を食べられない。夜も眠れず夜通し自分について考えてみた。私は今まで環境に恵まれてきた。大きな病気もせず、怪我もせず家族に囲まれていたから生活面に困ることもなく普通に暮らせてきた。これが私の弱さだった。家にいれば家族が周りの事をやってくれる。私は何もしなくてよい。私は今までやってきたことが生活だと思っていた。私は気付いた。違う。今までは世話を受けてただ生きてきただけ、生活とは生きるために手段を選んで行動していく事であると思う。私は生きていくために手段を選ぶという行動をとった事がない。とらなくても普通に生きてこられた。でも私は生活がしたくなった。自分で行動をとりたくなった。時計を見ると午前5時。気付けば娘が起きている。娘のオムツを取り替え、娘の顔を見る。「何かしたい。」「よし、草刈りをしよう!」娘を寝かせつけ作業着に着替えて銀河の里へ。脇山さんを誘い田んぼへ向かう。その途中ハウスに寄った。ハウスには赤いトマトが実っていたので水分代わりにと1つ頂戴していく。草刈りを始めると不思議だ。いつもは眠くてだるかったり、小一時間で疲れてしまうのにそれがない。昨夜は全く眠れなく夕飯も食べられなかったのに・・・これが何かをしよう。という気持ちか。すごいと思った。気持ちで全然違うじゃないか!夢中でやっているとあっという間に8時本当にあっという間。軽トラに草刈り機を積んで乗り込むとどっと疲れが。するとダッシュボードの上にトマトがある。何の気なしにトマトをかじる。「美味い。」今まで美味しい物をたくさん食べてきたが美味さが違う「美味しいね。」なんて表現じゃない。「美味い!」言葉を出さずに1つペロッと食べて思うこと。「もっと、食べたい」私はこれが本当のトマトの味、何より食べるという行動の意味であると感じた。そしてこのトマトの味でもっと生活がしたいと感じた。この感動をなんと呼べばいいかというと私は青春と呼びたい。昭和57年3月19日生まれ21才。妻子持ち。遅すぎる思春期到来の予感がする。
posted by あまのがわ通信 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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