2006年05月15日

私が立つ特別な場所 ★清水【2006年5月号】

 思えば、私は昨年の同じ時期もこの場所に立っていた気がする。目の前に広がる棚田。そして、頭上には広い空。ここに立つと私はなぜか目を閉じて、目に見えない何かを感じたくなる。
 デイサービスのテラス前畑。私は、ここである利用者と同じ時間を過ごした。春、夏、そして秋と、共に農作業をしながら、私はその方の背中をずっと追っていた。そして、いつしか私はその姿に惹かれていた。
 しかし、その方は数年前亡くなられた。だが、今も私の中にはその方が生きている。そう言っても過言ではない。この畑に立つと今も、あの時、そしてあの瞬間が鮮明に蘇る。
 私は最近、その畑に再び立った。そして、土を自分の力で掘り起こした。私がその土を掘り起こそうとした時に要した力は、相当なものに感じた。二十代の私がそう感じた土の重さ。そして、そんな土の重さを感じながら、頭には何度も何度も鍬を使い、自らの力だけで土を掘り起こそうとしていたあの方の姿が蘇る。今思うと、ものすごい生き様を見ていた気がする。
 そんなことを考えていた時、トラクターの音が聞こえ、「土、これで起こそうか?」とあるスタッフが私に声をかけてくれた。今後のことを考えると、トラクターで土を効率良く起こそうというその声は正直ありがたかった。だが、それと同時に本当に良いのかと自らに問う自分もいた。だが、そんな私にそのスタッフは一通り土を起こした後、「トラクターでやって良かったかな…?」と声をかけてくれた。そばに感じてくれている人がいた。その一言は私の中にものすごく響いた。その一言が、私と、私とその利用者の世界を守ってくれた気がした。
 私にとって、このデイサービステラス前畑はいつまでも特別な場所である。同じ時を過ごしたその利用者はいないが、今私の周りには新たな利用者、スタッフがいる。今度はその利用者、スタッフと新たな世界を形作ってみたい。そして、今年こそはこの畑をまずは畑らしくしたいと思う。畑らしくしただけではまずいのだが、自分の姿も見つめつつ、支えられながら、着実に歩んでいきたいと思う。                 


posted by あまのがわ通信 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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