2007年03月15日

動きつづける ★グループホーム 清水康宏【2007年3月号】

 大の字になり、目を閉じ、深呼吸する。頭の中に、いろいろなことが思い出される。出会い。タイミングにいつも驚かされ、その時の自分自身のテーマと向き合った。関わり。喜怒哀楽の感情と共に、自分が生きていることを実感した。そして、時に別れ。命の尊さを実感し、自分とは何なのかと自らにそのまなざしを向けた。
 これが、銀河の里での時間だった。私は、そのプロセスを幾度となく繰り返し、実に濃密な時間を過ごした。私は常にこころを動かされていた。
 こころ。それははっきりとした形がない。どんなものか説明できない。ただ、確実にそれぞれの内にある。どこかに秘めている。それが動く。
  動くことに、はじめはとまどった。それで果たして良いのかと、自分に問いただした。むしろ、こころが動くことに恥ずかしささえも感じていたかもしれない。だが、それは間違っていた。それで良いのだ。それが普通なのだと実感した。
 ある日の、グループホーム入居者とその息子さんのやりとり。その親子はかつて在宅だったころ、顔を合わせると常に口論になっていた。素直になれないでいた。
 息子さんの不意な訪問に、その方が向かって言う。  「何しに来たって?」
 息子さんはこう返す。
 「んじゃ、用もないようだし、帰るかな。」
 入居者さんは大慌てでこう返す。
 「何たら!そったなこと言うなじゃ!」
 息子さんは、そんな入居者さんを尻目に穏やかに笑っている。
 この日も、決して二人とも素直ではない。だが、何て奥深いのだろう。何て温かいのだろう。このやりとりを目の当りにし、私は思わず涙が出た。また、それと共に必死で笑いをこらえた。
口から出る単純な言葉の奥には、秘められたこころがある。必ずどこかにこころの動きがある。そこを見つめることができるか。
 一人の人間として、豊かになった。今はそう言い切れる。不思議だが、それと同時に自信も付いた。だが、まだここで自分自身をきれいにまとめるつもりはない。なぜなら、そのこころと同じように、私自身がまだ確実に動いているから。
大の字になり、目を閉じ、深呼吸する。今度はまた新たなスタートだ。


posted by あまのがわ通信 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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