2009年06月15日

今月の書「重」 ★特別養護老人ホーム 山岡睦【2009年6月号】

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何気ないやりとり

その一つ一つを積み重ねていくことで
生まれるもの

だからこそ重みがあって心に触れる

カタチだけ、上辺だけではないからこそ重い

“生きる”ことはそういうものなのかもしれない



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温泉デイサービス&介護予防教室のご案内 ★デイサービス・在介 高橋聡子【2009年6月号】

 温泉デイサービス

 平成21年5月27日、花巻温泉「ホテル千秋閣」にて、湯の華デイサービスを開催しました。今回の参加者は45名でした。今回は講師に藤原冨男先生を呼び、音楽に合わせたレクリエーションダンス・歌謡曲や民謡に合わせた踊りを楽しみました。覚えやすい振り付けに、「いい湯だな」や「二人は若い」等誰でも知っている歌を合わせ全員で踊ると、参加者全員に一体感が芽生え、終わった後は充実感でいっぱいでした。

 
 温泉デイサービス

 5月2日(土)、雲一つ無いさわやかな快晴の中、第2回介護予防教室「健康ウォーキング」を開催しました。今年度初めてのウォーキングコースは、東和町館山公園を選びました。まずはスタート地点の萬鉄五郎記念館駐車場で準備運動。特に足のストレッチを丁寧に行いながら、自分のペースで無理せず歩く事を確認し合いました。
 今回のコースは総距離400mと短いながらも、急な坂道が片道100m続き、参加者もスタッフも、汗がじっとり滲んできました。しかし、参加者の大半は現役で農作業に従事している方々。それぞれのペースで確実にゴールに近づいていく姿をみて、ちょっと短かすぎたかな?と思う程でした。ゴールの館山公園からは、東和町内を一望できる眺めを、冷たいお茶を飲みながら堪能しました。今後も楽しみながら身体を動かし、健康を維持できるような活動を企画していきたいと思います。
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今月の一句 ★グループホーム第1 鈴木美貴子【2009年6月号】

 私の歳

 二苦の先 超えて突き抜け 開けたら まるが三つの 大海原へ
 

 現在 29歳
 ゆう子さん(仮名)と誕生日が来たら29歳になるという話をしていた。ゆう子さんが「苦労の歳だな・・・苦しいの超えれば次はまる○だから」とボソリと言う。「2の9(苦)だもんね、苦しい歳になるかもね、でも頑張る」と言うとウフフと微笑むゆう子さん。29の次は30。30の丸。○って包み込んでくれる、温かい感じに思えて29苦しいことあっても次があるって思えたゆう子さんの言葉。
 

 ある日の会話

 年寄りの 苦労の話 聞いてると 頭で生きる 体の弱さ
  

「経験すれば覚えてく、年寄りああ言ったなと頭さ入れておけばいい」と桃子さん(仮名)。 コラさん(仮名)の昔話を聞きながら桃子さんが言った。一軒一軒歩いて新聞配達をしていたこと、今は田植えも機械だけれども昔は人を雇って田植えをした話。そんな話のあと「今の人は体じゃなくて頭だおんな」とコラさんの一言。
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もらった一言 ★ 事務 米澤充【2009年6月号】

 グループホーム第2には働き者の利用者さんがいて、食器洗い、掃除、洗濯、庭の草取り、畑仕事などなど、ガンガンと働いている。その姿があまりに自然で、パートさんが働いているのかというぐらい違和感がない。

 用事があってグループホーム第2を訪れると、ちょうど夕食後で、新しく入居したばかりのクミさん(仮名)が食器を洗っていた。4月に第1から移動した桃子さん(仮名)もテーブル拭きをしていた。「いや〜、働き者がいっぱいいて、職員は助かってるね~」と声をかけると、桃子さんは「寂しいからやってんだ〜。クミさんもきっとそうだ。ここに来たばっかりで、寂しいんだよ。オラもそうだったもの」と言うのにハッとした。

    “寂しいから働いている”?

 私はてっきり「他にすること無いから…」とか「何か手伝いたくて…」というような返答があると思っていたが、この“寂しいから”という言葉はすごく胸に残った。寂しいから働くというのは、寂しさを紛らわすためなのかとも考えたが、言葉通りの“寂しい”ではないような気がした。
 グループホームでは、入浴や食事の時間は決まっているものの、その他に関しては各々が自由に生活している。そのような中で“働く事”を選択した利用者を見ていると、家事をする事で自分の居場所を作っているように感じられ、銀河の里に入居する前の生活を思い出しているようにも見えた。
 よく考えると桃子さんの言葉は「自分にも当てはまるなぁ」と自分の働く意味まで考えさせられた。私は寂しいから働いているわけではないが、自分の居場所を作ると言う意味では近い。
 広報をなんとか充実させたい私は、毎日たくさんのストーリーが繰り広げられている銀河の里を味気なく世間に伝えたくはないと思ってきた。利用者の動きを伝え、利用者との関わりを試行錯誤している職員の様子を伝えたい。ホームページも福祉の施設っぽくないデザインを指向し、更新を心がけてきた。
 広報業務はやろうと思えば誰でもできるし、手を抜く事はいくらでもできるが、“自分の居場所”を作り守るためにも、銀河の里の本質に迫りながら伝えていきたいと思う。
 事務職の私にとって利用者と直接関わる機会は圧倒的に少ないが、今回の桃子さんからもらった一言のように、関わりの中で得た言葉を大切にし、残していきたい。
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新設 銀河の里特養の立ち上げスタッフとして ★特養ユニット「オリオン」 澤田章希【2009年6月号】

 私は今年の4月からグループホームから特養に異動となった。4月から始まったばかりの特養。これから自分たちで創り上げていく施設。最初は、「自分に出来るのだろうか?」と不安だった。
 ユニット型の全個室対応という新しい形の特養は、その特徴を活かすにはどういうことが必要なのか。少人数で個室は果たしてメリットとなるのか。
 プライバシーが確保できるのはいいが、その分死角は桁外れに増えるし、おむつ交換などの作業の効率は悪い上に職員の数は少ない。下手をすれば人間的関わりのないブロイラー管理に堕落してしまう落とし穴がある。
 なんと言っても、重要なのは利用者さんとの繋がり、関係性だ。あらゆる業務は、作業も含めてそのためにある。それが果たして守れるだろうか。
 特養も他の施設とは違う何かが芽生えていると感じる。例えば、利用者さんとスタッフが漬け物を作ったり、交流ホールを利用して、他のユニットと合流しておやつ作りを行ったり。どこかグループホームと似た空気があり、お互いの関係性を深めたり、繋げたりする時間を大切にしている。
 こうした貴重な時間が減らないように、むしろ増やしていくよう意識し続けることが自分に出来る身近な努力目標だ。
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私の壁 ★デイサービス 小田島鮎美【2009年6月号】

 銀河の里のデイサービスで三ヶ月。楽しく始まったつもりだったが、ついに来たこのとき。乗り越える何かの壁にぶつかっている今だ。
 やらなくちゃ、こうしなくちゃの思いにまっすぐになりすぎて、自分自身がいっぱいいっぱいになる。心のゆとり、きもちの余裕がなくなってしまう。私には私の思いがあるところで、でも利用者さんには利用者さんの思いがあり、気持ちを分かろうとは思うけどでもこうしなきゃという思いの方にとらわれ、葛藤する。靴を脱ぐだけでもすんなりいかないことがあるし、帰り送迎の車に乗るのを拒否し“おら乗らねぇよ!”なんてこともあるし。はたかれたり、つねられたりは日常で、私にとっては筋の通らないことを言われながらも、利用者さんを受け止めなきゃ、受け入れなきゃと、自分の気持ちとは裏腹にがんばってしまう。それではやはり苦しくなり色んな負の感情がわきあがる。そして、そんな自分が嫌になる。
 でも、それって自分のありのままに感じたことを我慢しているから苦しくなるのかな。殻を破れない自分がいるのかも。もっと素直に、直接ぶつかっていいのかもしれない。泣きたくなることもあり、怒りたくなることもあり、どうしていいかわからなくなったりもする。そんな、ありのままの自分を表現していいのかもしれない。今は、そこから始めていきたいと思う。
「素直にありのままの自分を生きる」ずっとそういう自分になりたかったんだと思う。だけど、ネガティブな感情を出すのは、こわいし勇気がいる。相手から、どう思われるかも不安になる。だから、今までできなかった。
 でも、利用者さんはほとんど言いたいことは直球で、感じたことそのままかまわずスパーンと投げてくる。それは意外とおもしろくて、それぞれの個性がぐっと引き立つばかりか、そういう個性全開が、なぜかデイの利用者さんたちを自然にひとつにする。不思議なんだけど「すげー!」と感心することも多いのだ。そんな利用者さんたちから、自分の感情がどんどんと引き出されているんだから、これはすごいことかも。なんか、人間らしい感じがする。そう考えたら、明日からがちょっと楽しみになってきた。
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新人ケアマネージャー奮闘記 ★居宅ケアマネージャー 板垣由紀子【2009年6月号】

 寝たきり寸前、ぎりぎりの攻防@

 その人と初めて会ったのは、6年前、その人はピアノを弾いていた。その場のアドリブでオリジナルなアレンジの味付けをしていくピアノ、その型にはまらない感じに魅了された。
 時は過ぎて、その人は私のケアマネの1番目のケースとなった。2階建ての市営住宅で一人暮らしをしてきたその人は最近、階段から落ちることが増えていた。年を重ねて筋力が衰え住宅環境が合わなくなっていた。階段から落ちたとき、彼が真っ先に確認するのは、指が動くかどうかだと言う。さすが根っからのピアニストだ。
 2階の生活は無理だと彼もわかっていて平屋への転居を市に申請してきたが、長らく反応はないままだった。階段から落ちて救急車で病院に運ばれたのはすでに3,4回程ある。
 今回も転落し救急車で運ばれたが骨折には至らず、打撲ですんだ。根っからの自由人である彼は、打撲とわかると自分で勝手に退院を進めてしまうので私はとまどった。結局入院一泊で無理矢理退院許可をもらって次の朝、家に戻ったが、体力が低下していて、歩けるような状態ではない。
 2階が寝室だが上がるのはあきらめ、1階に布団を降ろした。夕方もう一度訪問して、棚をつたって廊下まで実際に移動してもらうと、ゆっくりだがなんとか歩くことができた。ところが翌日から痛みが増し、這うことはおろか、食欲もなくなり、日に日に衰弱していった。
 このままでは、寝たきりの危険性もあると判断し「何処か泊まることも考えよう」と本人を説得、「どこに?」の問いに、「・・・・入院かな、考えておいて。」と伝える。入院に向けて市の生活保護課、主治医のいる花巻病院に連絡を取ったが、ベットに空きが無いとのことで、転落で搬送された温泉病院に行く予定を立てた。
 翌日早朝、本人から私の携帯へ、弱々しい声で「入院させて下さい。」と連絡が入った。これはまずいと急遽ヘルパー事業所に事情を話し部屋を開けるに際しての掃除や洗濯、ゴミ出しをお願いし介護タクシーを手配し、本人宅へ向かった。
 部屋に入って驚いた。布団のわずかな段差で身動きがとれないまま、一晩過ごしたらしく、トイレはおろか体も起こせない状態。何とか着替えをして介護タクシーを待つ。その間、タバコを吸おうとするのでストップをかけ、水分をとって、今の状況を話し合うが、タバコは唯一の楽しみでもあり、入院となると吸えなくなるかもしれない。「一本だけね。」と折れると「わかりました。」と妙に神妙なので、ちょっと悲しくなった。
 病院では1時間も待ってやっと診察室にはいったが、ベットに空きがないので入院は無理と断られる。何とも腑に落ちない私。「このまま家に帰ったら寝たきりになっちゃうよ、何とかするから。」と待合室で話していると、看護婦さんが申し訳なさそうに謝ってくれたので「病院が悪いわけではないですから・・・。」と言ったものの、どこに向けていいのかわからない憤りを抱えてしまった。「いいケアマネさんについて貰ったね。」と看護婦さんは声を掛けてくれるが、八方ふさがりに変わりはない。結果、里の特養のショートステイで受け入れて貰うことになっのだが・・・。
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緊張の時、緊張の遊びで心を解きほぐす ★グループホーム第1 西川光子【2009年6月号】

 この4月からグループ1では4名の方の入れ替わりがあり”激動”の日々が続いている。この現場で7年目の私も、いままでにないドキドキ状態を味わっている。 だがこういう時こそ”遊びたい”と思った。以前よくやったジェンガを、このメンバーで、やってみたくなった。
 先月、着物を介して感性と価値観が合ったヨツ子さん(仮名)とミサさん(仮名)が、また隣同士に居合わせる。和服のヨツ子さんとおしゃれな洋服のミサさんの間にジェンガタワーをトンと立ててみた。
 二人は予想以上に関心を持ってくれ、「あ〜これね」とヨツ子さんは、さっそく三本の組木に手を伸ばしツンツン押し始めた。「これは何ですか?どうすればいいんですか?私初めてです。全くわかりません。教えて下さい。」と少しうわずった声で聞いているミサさん。わからないこと、知りたい気持ちをきちんと表現し、自分も参加しようという前向きな姿勢を感じながら、説明し一緒にやってみる。
「は〜そうなるわけですね。なるほど・・・これは大変難しいですね。」語りながら挑戦していくミサさん。
 そのかたわらで「ちょっとここはダメだね。これやってみるか?〜 」とつぶやきながら、次から次へとやってのけるヨツ子さん。その様子を見て「あら、おばあちゃんお上手ね〜。どれどれ?」と相手をしっかり認めながらも、いくぶん義務感になっていくミサさん。
 この時、ジェンガタワーはかなりのピンチになっていて、ちょっとでもふれたら今にも倒れそうな状況。見ているだけで手に汗握る場面、ミサさんは、そーっと丁寧に一本抜いて、なんと!そこを乗り切ったのだった。「あ〜よかった、よかった」と張りつめた緊張から解放されるミサさん。
 次が私の番で、ミサさんの緊張をひきついでチャレンジしたが”ガチャ〜ン”と崩してしまった。「あらら・・・」とがっかりするミサさん。ヨツ子さんは「フフ・・・」と散った棒を淡々と集め、次への準備をしはじめる。
 その次もまた私の番でダイナミックに崩してしまったところで、それではと、今度はジェンガの棒を一本づつ並べて、ドミノ倒しをやってみることにした。テーブル全体にところ狭しとくねらせながら、二人とも真剣な面もち。ヨツ子さんが最初の1本を押すことになった。「いいかしら?やるよ。」とチョコンと押す。パタパタ・・・とリズムよく全部が倒れていく。 S字のような形が残って。”わあ〜”と拍手し”お見事、お見事!!”とミサさんもヨツ子さんも私達も大喜びで、ギャラリーからも拍手が巻き起こった。是非ミサさんにも最初の一本を押す人をやってもらいたくて、もう1回並べ始める。今度は、横一直線に並べて、それを端の方から1,2,3・・・と数えるヨツ子さん。途中からミサさんも数え始めて、やがて二人で声を合わせ、指さししながら数えていく。着物と洋服の二人が数える姿は和と洋が融合している様に感じられてとても興味深かった。いよいよミサさんが押す「いい?いいのね。こうね。」と念入りに確かめてちょっと触れる。一直線に倒れたジュンガのドミノは波模様が整然としていてミサさんらしかった。
 「ハハ・・・」とみんなで笑った。緊張、義務感をのりこえた「ハハ・・・」と優雅につき合ってくれたヨツ子さんの「フフ・・・」真剣なミサさんと、気楽なヨツ子さんの対照。二人のコンビネーションがほどよく調和した心地良い空気が、激動の只中の、私の心の緊張をほぐしてくれた。
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もちつきでお腹いっぱい ★デイサービス 田代恵利子【2009年6月号】

 銀河の里恒例のもちつき。前日から、草もちに入れるあずきの仕込みなど、準備で、スタッフが慌ただしく動いていた。デイサービスに通っている花子さん(仮名)は、よもぎの摘み取りから、そのあと4、5日かかった選別や、仕込みを手伝ってくれた。
 もち好きの利用者、スタッフ(?)のために臼だけでなく、餅つき機も使ってつくことになった。当日、もち米が蒸け上がる匂いがデイホールに漂ってくると、お昼前の私のお腹もグ〜と鳴った。
 朝から、一緒に来た人を探して玄関に向かったり、外へ出て落ち着きがなかった静香さん(仮名)も、その匂いに誘われて、もちつき機の中をのぞき込んでいた。傍らで、花子さんは手際よく、よもぎを入れ、作業に慣れないスタッフに教えながら、もち番をやってくれた。花子さんは昼前に出来上がった草もちを、固くなるからと、昼休みもせず、食後すぐ、大福作りにとりかかった。次々と色鮮やかな大福ができあがっていく。甘いもの好きの修さん(仮名)は、大福が気になり、いつもなら昼寝する時間なのに、視線は大福に。いつ食べられるのかそわそわしていた。
 そのうち花子さんの周りにはグループホームからも助っ人が集まり、あっという間に女性の城ができあがっていた。静香さんも、午前とはすっかり気持ちが切り替わり、手際よく丸め方をし、「あんこ詰める人、もち丸める人、てんでにやった方いんだ」と中心で仕切っている。いざ作業となると別人のように機転が利く姿が頼もしかった。
 デイホールの外では、昔ながらの杵と臼でのもちつきが始まり、威勢のいい餅つきの声が伝わってくる。昼寝から起きてきた良夫さん(仮名)も、外でのもちつきに参加。普段の力の入った感じとは違って、スタッフと一緒に杵をつく様子はとてもソフトだった。また、グループホームのミヤさん(仮名)がテンポよくえんどりする姿は普段はあり得ないことでみんなを驚かせた。「あだまさあ、おろすなよ〜」と尻込みして言って一同を笑わせたりもしていた。
 外から次々出来たての草もちが運ばれてきて、女性陣の大福作りのテンポも早まる。厨房では、なかなかふけないもち米に、スタッフが悪戦苦闘していたり、中も外も久しぶりのにぎわいとなり、他のデイサービスの利用者も、活気ある雰囲気に気分が盛り上がる。ミチさん(仮名)は、「正月のもちか〜」と言って笑っていた。
 みんなで協力して作った草もちは、百数十個にもなった。出来たてほやほやのもちをデイサービスでみんなでほおばった。よもぎの香りが口いっぱい広がって、とてもおいしかった。普段は見られない利用者の意外な一面が出て、みんなが一同集まって楽しい時間を共有できたので、私はお腹も気持ちも大満足だった。
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新たな一面・・・深まる関心 ★グループホーム第1 村上ほなみ【2009年6月号】

「ヨモギ餅作るんだけど、ちょっと助でけんねっか。」と何気なくミヤさん(仮名)を誘った。この1ヶ月間、気づけば私はいつもミヤさんの隣に座っていた。手を握り、2人で同じリズムを刻んでいるだけで、ほとんど言葉はない。それが居心地が良い。
 この時も、自然とミヤさんの隣で声を掛けていた。なんとなく雰囲気で断られるのがわかった。すると言葉でも「やんかじゃ。おら、そったなことしたことねーもの。足痛くてわがんね。」と丸めたタオルを抱きかかえ、赤ん坊をあやすかのように揺らすミヤさん。「やっぱり・・・今日はダメかな。」と思いつつ、“わらし”も一緒にならのってくれるのではないかと「わらしば私が預がるから」と声をかけてみた。
 するとなんとあっけなく“わらし”を私に預けるやいなや、嫌そうな顔は変わらないまま私の手を引いて玄関へ向かうではないか。これには私のほうが驚いた。玄関から外に出る前、私はこっそりと“わらしタオル”をソファーに寝かせた。ミヤさんは気が付かない。もう、餅つきのことで頭がいっぱいのようで、「寒いな。でも、餅つけば温かくなるもんな。」「手ぬぐい忘れで来たじゃ。持って来てけで。」と完全にその気で、私は手ぬぐいを取りに走る。ミヤさんは颯爽とその手ぬぐいを頭からかぶり、やる気満々。
 餅つきが始まると、ミヤさんは、合いの手を進んで引き受け、男の手がほしいとわざわざ呼ばれていた健さんのポジションを奪った。疲れたのではないかと「交代しようか」と声を掛けるスタッフには「わがんね、わがんね。」と言って譲らない。ここまで作業に夢中になっているミヤさんを見るのは初めてで、驚いた。写真を撮るのも忘れるくらい、私も夢中になって応援していた。餅つきが終わって「疲れたでしょ?」と聞く
 「何こんなことで!!」と元気いっぱいのミヤさんだった。
 始まる前の嫌そうな表情が嘘だったかのように生き生きした顔になっていて、私まで元気をもらったようだった。出来上がったヨモギ餅を片手に「うんめぇがら食べらい」と近くにいるデイの利用者さんをもてなすミヤさんがいた。
 ひと月あまりのお付き合いのなかでも、ミヤさんはいろんな側面を私に見せてくれた。とまどうことばかりのグループホームの喜怒哀楽の激しい毎日の中で、一緒に笑ったり、怒ったり、泣いたりすることで、少しずつでも1人1人と関係ができていくのを楽しみに過ごしつつ、自分自身も成長していきたい。
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今年のもち米手植え ★グループホーム第2 米澤里美【2009年6月号】

 里では田んぼが7ヘクタールあるが、そのなかで2反歩はもち米を植えていて、毎年その一部を手植えをするのが恒例になっている。田植え機械で植えれば、あっという間に終わるのだが、そこに、わざわざ手植え分だけを残し、里の人々がわんさか集まって、もち米の苗を手で植える。そのわずかな手植えの空間に、大切な思いがある。
 米作りは日本の文化、里の命。そういう大事なことを里に住む人々の手で行い、ただのイベントに陥って薄っぺらにならないよう考えてきた。
 今年は、小規模特養とみつさんち第2が新設になり、新たな里の住人が増え、なんと一枚の田に約70人が集まった。事前にスタッフはミーティングを開き、安全の確保など入念な打ち合わせを行った。
 いざ当日。早朝に雨が降ったものの、田植えの時間には快晴となり、絶好の田植え日和り。小さな田んぼにじゃんじゃん人が集まる。利用者を乗せたワゴン車が3台、普通車2台が棚田に集まる。
 ワークステージの若者達が慣れない手つきでそろりそろりと苗を植えていく。グループホームのクミさん(仮名)と桃子さん(仮名)は、歩いて登場。田に入り、若者達の横で「そらぁ〜」と掛け声かけて手際よく植えていく。特養に住む祥子さん(仮名)は、「何十年ぶりに田んぼに出たわよ〜!」と田の脇で苗配り。新人スタッフも田に入り、利用者さんから苗を渡してもらったりしている。
 ちょうど米澤家に修学旅行の農家ホームスティに来ていた東京の中学生達も田んぼを見学にきた。「入って!入って!」と誘われ「泥って気持ちいい!」と中学生も仲間に加わった。田の脇には、利用者さんが車の中から見学したり、ベンチに座ったりして田植えギャラリーでにぎわっている。コラさん(仮名)の田植えの歌も聞こえてきた。麦わら帽子にマイ長靴でやってきたものの、車の中にいた鉄也さん(仮名)。誘うと「田さ落ちるぞぉ!」と降りてきてくれた。田に入っていた新人スタッフの勝己くんに暖かいまなざしを送り、無言で肩に手をおいた。「ごくろうさん」とねぎらっているように感じられた。
 田植えが終わって、各部署で作った小昼を田んぼで食べる。「みんなでやれたんだから、今年は豊作になるわよ〜」と祥子さんが言う。こういう言葉や語りが生まれ、みんなの表情が自然と動くから、すごい。新しい部署が増え、多くのスタッフ間で気持ちが繋がっていけるか、始まったばかりの今、不安がないわけではない。秋の「収穫」の日までには、スタッフも利用者も一緒に生きている実感で繋がって稲刈りができたらいいと願っている。
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特養の田植えドライブ ★特養ユニット「すばる」 佐々木勝巳【2009年6月号】

 5月27日。風が心地よい快晴の中、田植えドライブに行ってきた。僕は運転手として、意気揚揚と出発した。
 行先は新花巻駅近くの田で、距離は近かったが、道路は細く曲がり道の連続。慎重に運転してたつもりが、リフト車の後部座席に車椅子で搭乗してる新太さん(仮名)は、「おめえの運転下手だあ、帰りたい」と機嫌を損ねてしまった。
 現場に到着したが、田んぼへの道幅が狭く、砂利道で、道の横は農業用水路?で怖かった。やっと現場についておやつタイム。新太さんはまだ機嫌が直らなかったが、せんべいを食べ、ドーナツを食べ、お茶を飲んでいるうちに機嫌はよくなっていた。
 おやつタイムでは、新太さんとトシさん(仮)は車の外で、スギさん(仮)とサチさん(仮)は車の中で、それぞれ田植えの感じに浸りながらひと時を過ごした。田んぼをバックに、会話も弾み、それぞれの昔話を語ってくれた。普段、室内で過ごす様子とはまた違う新たな一面を垣間見ることができて楽しかった。
 特養が始まって2か月。私との利用者さんの物語は始まったばかり。これから徐々に関係を築きながら、「生きる」をテーマに現場を作っていきたい。
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